Mamiya ZE

出会い

 出張で某所に行くとき、JRと私鉄の乗り換えでてくてく歩かなければならないところがあります。はじめの頃は幹線道路沿いに歩いたのですが、商店街の中を通った方が近いということを教えられたので、そちらを歩くことにしました。歩いてみますと、カメラ屋さんがあります。何もないだろうとは思いましたが、とりあえず覗いたところ、少ないながらも中古カメラが置いてありました。棚は小さいのですが、蛇腹カメラ(名前失念)とかプラクティカのBMSとか、ちょっとヘンなカメラが置いてあります。その中にこのMamiya ZEが並んでいたのでした。レンズは、開放値が1.7〜2.0のものがついているのが普通だと思うのですが、これには1.4が付いていました。標準好きの私としては気になりました。

 しかし、その日は雨で、手に傘を持っていて濡れていたので、触らせてくれと頼むのもなんだか気が引けて、ガラス越しに眺めるだけで帰ってきたのですが、どうも気になるので、某有名標準レンズサイトの掲示板に「こんなものが置いてありました」と書き込んだところ、手に入れた方がよいとアドバイスを頂きました。

 その後、その場所への出張を狙っていたのですが、一向にチャンスが来ない。仕方がないのである暑い夏の土曜日、自腹を切ってそのカメラ屋に乗り込んだのでした。
 例のものは確かにそこにありました。しかし、この前と何か様子が違う・・・値札がないのです。まさか・・・と思いつつ、「このカメラを見たいんですが」と店員に申し出ると、やはり誰かがすでに唾をつけているらしいのです。詳しいことは午後6:00ころ戻る社長に聞いてくれ、とのこと。この暑い日に、6時までふらふらしていろと言うのか・・・呆然としながらも「わかりました」と言ってとりあえず電話番号を教えてもらい、スナップしながら歩き回りました。ホリデーパスという、かなり広範囲で乗り降り自由な切符で来ていたので、秋葉原にも行ってみました。

 そんなわけで、特に時間を持て余すこともなく6時に近づいたので、再び例のカメラ屋に向かいました。カメラ屋の前を通り、社長らしき人物がいることを確認した後、近くのスターバックスでアイスコーヒーを飲みながら汗が引くのを待ちます。
 十分に汗が引いたところでカメラ屋に行き、社長と話を始めました。社長が言うには、確かに先客はいるが、社長としてはもう一本のマミヤ用ズームレンズも一緒に引き取ってもらいたい、ただこのことは先客も知らないので今度来たときに話をする。もし、その時にいらないということであれば、こちらに売りたい、こんな話でした。
 正直、ズームは私もいらなかったのですが、+\5000でいいというので、総額で考えれば高くはないと判断し、「先客がいらないと言ったら私が買います」ということになりました

 その後2週間ほど経ったころ、先客が断ったと連絡があったのですぐに送金して、ようやく私のところに届いたのでした

このカメラについて

 マミヤの135判カメラについては全然予備知識がないため、今ここにあるカメラとレンズを見た範囲でわかることだけを書くことにします。他のサイトからちょっと引用させていただくこともあるかもしれませんが、その時は出典を明確にすることとします。

 たいがいのカメラメーカーは、製品(SLR)の大幅変更の際にマウントを換えています。ニコンのように、基本仕様は換えずに今も第一線にいるメーカーもあれば、換えても歴史の闇に消えていったメーカーもありますが、マウント変更の回数は1回というのが普通です。
 しかし、マミヤの場合はびっくりするくらい節操なく変更を繰り返したようです(「tokinon 1:1.4 f=50mm」サイトのNC1000Sより)。このZEは、そのマウント遍歴の最後となる「ミラクルマウント(電気接点を多数持つこのマウントをこう呼ぶらしい)」を採用したモデルです。
 「Mamiya Press Fan Club」サイトにありますが、このZEはミラクルマウントボディの中では最廉価版であるようです。確かに外装はほとんどプラスティック製で高級感はありません。ファインダー内の表示もシャッタースピードのみ、その表示は1/1000から1/30までとLTで、1/30より遅い場合はすべて「LT」として表示されます。シャッター速度自体もスロー側が1秒までですので、絞り込んで風景を撮るなんて時は困る場合があるでしょう。基本的にはお気楽写真向けと思われます。±2段の露出補正ができますが、ゼロの位置でロックがかかります。こういうカメラは意外に多いですが、個人的には使いやすいとは思いません。モード切替つまみをオートモードからAELモードやX、Bへ回すときにもロック解除が必要となっています。
 実物はもちろん見たことがありませんが、ワインダーが装着可能のようです。
 電池はSR44型を4ヶ使いますが、この電池ボックスがちょっと変わっています(写真右)。こうしなければならない理由はあったんでしょうが、これを紛失したり壊してしまったらもうこのカメラは使えないと思うと怖いですね。また、LR44に対応しているかどうかはわかりませんが、手元に届いたときにはLR44が入っていました。そのまま使っています。バッテリーチェック機能がなさそうなんですが、何か警告が出るんでしょうか。楽しみです。シャッター幕が開かなくなるのが警告だったりして。
 また、露出過多の時は1/1000のLEDが、露出不足の時はLTのLEDが点滅して警告してくれます。

使ってみて

 上にも書いたとおり、お気楽写真向けカメラなので、凝った機能や使い方などはなく、フィルムを入れて感度を設定したら後は適当に絞りを決め、巻き上げてレリーズするだけです。高級感はありませんが、ちょっとずっしりした重量のせいか、チープ感というのもあまりなく、楽しく撮影できます。ファインダー倍率もかなり高いようで、OM-1と比べても遜色ありません。夜間のピント合わせも思ったより楽でした。

2002.08.12.