X-700

このカメラについて

 α-7000で実用的なAFを搭載してカメラ界に旋風を巻き起こしたミノルタが、1981年に発売し、つい最近まで販売していたMFミノルタマウントのカメラがX-700です。X-○○○シリーズの中では最上位機種にあたり、絞り優先AE、マニュアル、プログラムの各モードを備えています。機能的には十分なカメラですが、いかんせん総プラスティックでなおかつあくまで普及型と割り切ってデザインしたと思える外観は、決して所有欲を満足させるものではありません。発売当時としては一般的な設計(デザイン)だったのかもしれませんが。
 このカメラはXDで搭載していた「瞬間絞り込み測光」を採用しており、レンズの絞りトラブルにもできうる範囲で対応してくれます。そのせいでレリーズ感がトロいのですが、いたしかたありません。
 このカメラには前後期があり、後期型はAEロックができます。右の写真は前期型ですが、後期型ではエプロン部向かって左のセルフタイマースイッチ(上へ上げるとON)を下に下げるとその時点でAEがロックされます。実機がないので不確かなのですが、このスイッチは指を離すと中立位置に戻ったはずです。

 このころのミノルタMFカメラには、フィルム巻き上げ軸の近くに横長の窓があるモデルがあります。ここから朱色の舌が見えれば少なくともフィルムは巻き上げ軸に巻き付いている証拠で、撮り進むに従い朱色の面積が増えていけばちゃんと巻き上げている証拠になります。ただ、入っているフィルムの種類は判別できません。X-700にもこの機構は採用されています。

使ってみて

 上にも書きましたが、あまり高級感がなく、使うことを楽しむカメラではないようです。しかし、純正マウント以外に複数のマウントのレンズを装着できるカメラはこれとXD-sしか持っておらず、実用上は手放せないカメラになっています。実際、このカメラでは純正レンズよりも異種格闘技レンズの装着頻度の方が遙かに多くなっています。
 使ってみますと、露出が大変安定していることに感心します。普通、同じ被写体を開放から徐々に絞りながら撮影すると、開放と絞り込んだ後では露光量に差があることが多いのですが(整備不良なだけかな?)、このカメラ(XD-sもそうでしたが)は純正レンズでも異種格闘技レンズでも、常に安定した露出を示します(極端な条件はとりあえず除きますよ)。
 ミノルタさんはこのAEにたいへんな自信を持っていたのでしょうか、±2段の露出補正ができますが、ロックボタンを押しながらの操作はたいへんやりづらいですね。ゼロの位置でロックがかかるだけならよいのですが、常にロックがかかる構造です。左手親指でロック解除ボタンを押しながら、人差し指を12時の位置に当ててダイヤルを回す、というのがミノルタの要求する作法かと思いますが、人間工学的にはダイヤルは直径方向の2カ所を人差し指と親指でつまんで回すものと考えるべきだと思います。XDなども常にロックがかかっている構造ですが、あちらはロック解除ボタンがダイヤル外周上にあり、ダイヤルを直径方向でつまむことでロックを解除するようになっています。これも、ボタンの位置があまり適当な位置になく、あのころのミノルタは積極的な露出補正に否定的だったか、あるいはAEにたいへんな自信を持っていたのかと推測しています。
 このカメラのよいところはもう一つあります。それはファインダーがよいことです。明るくてピントも合わせやすく、開放値の暗いレンズをつけてもマット面でのピント合わせはかなり楽です。ただ、この場合スプリットイメージやマイクロプリズム部分はどうしても翳ってしまう点が問題です。ないものねだりですけど、全面マットのスクリーンがあったらよかったのですが・・・

2001.11.01.