このカメラについて
フォクトレンダーを代表するカメラです。撮影体勢にある時は、左上の写真のように棒が飛び出し、レンズも飛び出しているのですが、保管時、運搬時は右上の写真のように出っ張りがほとんどなくなってしまいます。シャッターボタンさえも半分ほどの出っ張りになってしまいます。
左上の写真にある飛び出した棒は、フィルムの巻き上げとシャッターチャージを行う棒です。これをぐぐっと押し下げることで巻き上げとシャッターチャージが行われます。巻き上げ時にチャージが自動的に行われる機構をセルフコッキングと言いますが、ビテッサが出た時代にセルフコッキングを採用していたカメラはほとんどなく、その実現方法もユニークで画期的だったと言えると思います。私個人としては、この機構は手放しで絶賛してしまいますが、逆にこれが気に入らないという人もいるようです。
上の写真のモデルはだいぶ初期のタイプで、アクセサリーシューがなくシンクロターミナルもレンズユニット外周に付いています。パララックス補正も手動ですが、それ以外に特筆すべき特徴として、圧板制御があります。圧板制御というと大げさかもしれませんが、要するに巻き上げ中は圧板を浮かせてフィルムの動きを軽くし、巻き上げ完了後はフィルムガイドにフィルムを押しつけるようにコントロールする機構です。
度重なるマイナーチェンジで、アクセサリーシューをつけたりパララックスを自動補正したり露出計を付けたりして、少しずつ便利になっていった反面、目立たない手の込んだ機構は省略されていったようです。
|