20世紀初頭、コダックは大量のカメラを販売していました。それこそ、何が違うのかわからないくらい、私から見たら同じようなカメラが販売されていたのです。当時使われていたサイズのフィルムは、今ではもう手に入らないので、撮影に使うことを前提にしている私の興味の対象にはなりえません。
しかし、どこかから取ってきたレンズを現代のカメラに付けて撮影するという遊びを覚えてしまったので、レンズだけは興味の対象になってしまいました。まず目を付けたのが、日本で「ベス単(ヴェス単)」と呼ばれているものです。これは、ケンコーとかキヨハラとかがわざわざ同じような写りをするレンズを現代一眼レフ用に作っていたことでもわかるように、それなりの需要があったみたいです。
ヴェス単とは、Vest Pocket Kodakというカメラのレンズ(1群2枚)のことです。「ヴェストポケットコダックの単玉」を省略してこう呼びます。で、このレンズの何がありがたいのかといいますと、レンズ前面についているフードを外すと独特の効果が得られるということです。これが「ヴェス単フード外し」といわれる技?です。
昔のレンズには、時々絞りが全開しないものがあります。もちろん、壊れているものもあるのでしょうが、中には開放にすると使いものにならないと判断されたためか、メーカー側で全開にならないような設計をしたものもあります。Vest
Pocketの場合は、絞りは全開になりますが、前面にフードを付けることによって絞った状態にしています。ですから、このフードを外すことにより隠された性能を引き出すことができるのです。隠れた性能とは、何のことはない収差のことですが、どんなソフトフィルターも出し得ない効果が得られます。こういうものは、最初はおもしろいのですが、そのうちげっぷが出てしまいます。PLフィルターと同じです。ですから、いつも全開で使うのではなく、状況に応じてコントロールしながら使うのが長持ちさせる秘訣なんでしょうね。でも、これに気づいたのは、手放してしまった後でした(;
;)
使い方のコツ、というか、使ってみればわかることですが、開放ではピント合わせが困難です。したがって、一目盛り絞ってピント合わせして、その後開放にして撮影、という手順になります。通常は開放でピント合わせをし、必要なところまで絞って撮影しますが、逆の操作になります。
|