出会い
酒屋で買ったIC-1の後、しばらくして買ったのがUNIREXでした。同時期にUNIも入手していますが、これは最初からほぼジャンクでしたので、稼働可能なUVマウントボディはNEW
IC-1とこのUNIREXだけです。
このカメラについて
このカメラはトプコンのUVマウントレンズシャッターカメラでは最後のモデルのようです。クイックリターン式ミラーで平均測光とスポット測光切り替えができるのが大きな特徴です。
平均測光は普通のTTL測光カメラと同様、ファインダープリズムの脇に付いている素子により測光しますが、スポットの場合はミラーの裏に仕込まれた素子が測光します。このため、ミラーの中央部はハーフミラーになっています。このカメラのファインダースクリーンは中央部がマイクロプリズムで周囲がマットになっていますが、ハーフミラーにより光量が減少している部分とマイクロプリズムの位置が重なるため、ちょっと暗い被写体になると翳ってしまい、ピント合わせが難しくなります。
通常は真ん中でばかりピント合わせはしないのですが、ピントの山がつかみにくいマットなので、どうしてもマイクロプリズムを使うようになってしまうのです。すると、マイクロプリズムの翳りが気になってしまいます。
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巻き戻しクランクと同軸に設けられた測光方式切り替えレバー。"A"が平均測光、"S"がスポット測光。 |
また、構造上やむを得ないことなのかもしれませんが、巻き上げの感触がよくありません。巻き上げ始めは頼りないくらい軽いのですが、指当ての面積が小さいことも相まって、途中から急に重くなり、いかにも強いばねを伸ばしているという感じの感触が伝わってきます。同じクイックリターン式ミラーのレンズシャッターカメラであるウルトラマティックも、あれだけコストを掛けても巻き上げの重さはいかんともしがたかったようですので、やむを得ないことなのでしょう。
このカメラの後に、測光方式切り替え機能を省いたUNIREX EEという機種が発売されたようです。廉価版の位置づけとのことですが、ハーフミラーがないのでマイクロプリズムの翳りも発生しないはずで、私としてはそちらの方が実用上はよいのではないかと思っています。現物を見たら気が変わるかもしれませんが。でもこれって、ヤシコンのRXとRX
IIの関係に似ているような気がしますね。
UNI"REX"という名前の通り、UVマウントのボディでは最上位に位置するカメラのようですが、巻き戻しクランクや巻き上げレバーの押さえネジなどの光沢はきれいですし、トップカバーの梨地も高級感があります。廉価版のUNIREX
EEにはプラスティックの指当てが付いたようですが、改良というよりはUNIREXでは高級感を維持したかったために、巻き上げレバーに合成樹脂の指当てを付けなかったのかもしれません。
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マウント奥に見えるミラーの真ん中がハーフミラーになっていて、そこを通過した光がミラー裏の受光素子に届く。このためファインダーに届く光が減り、マイクロプリズムの翳りにつながる。 |
標準レンズは銀色鏡胴のUV TOPCOR50/2がついていましたが、この鏡胴もUNI"REX"にふさわしくとてもきれいな表面をしています。ただ、フォーカシングの感触に従来のものとさほど変わらないしゃりしゃり感があるのは残念です。
IC-1 AUTOのページでも書きましたが、このマウントはレンズの開放値をボディに伝える機構をもっていません。従って、シャッター速度優先AEを正確に機能させるには、レンズの開放値を手動でセットしてやる必要があります。IC-1
AUTOではエプロン部向かって左下に見えるダイヤルでレンズの開放値をセットしましたが、UNIREX
ではシャッターリングと同軸になっているフィルム感度設定リングでセットします。ダイヤルの指標と開放値を合わせるIC-1
AUTOに対し、入れたフィルムの感度の数字に開放値の数字(マーク)を合わせるUNIREXの方式は、構造は簡素化できますが、実用上(広角から望遠まで駆使する場合など)は混乱しそうです。
使ってみて
●アガリをぱっと見てまず感心したのは、ほとんどカメラ任せで撮影したにもかかわらず、多少オーバー側に振れてはいたものの露出がかなり安定していたことです。IC-1
AUTOはあまり当てにならなかったので、主力ボディはこちらにした方がいいかもしれません。
念のためブラケット撮影しましたが、露出補正が絶望的にやりにくいので、完全オートのカメラ任せで撮ると割り切った方がいいようです。
●次にアガリをルーペで見て気づいたのですが、ブレが多い!手ぶれとはちょっと違う感じのブレです。緩衝構造のないミラーの動きであるというのは感じていましたが、それがこれほどまでにブレに影響するとは思いませんでした。今後はしっかりホールドして撮影するようにしましょう。
2003.08.13.
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