Carl Zeiss Ultron 1,8/50

出会い

 Canon EOS10とOMしか知らなかった私が、最初に興味を持ったクラシックカメラがIcarex 35S TMで、それについていたのがこのUltron 1,8/50(M42マウント)でした。レンズの方は日本で買うとけっこうな値段になるようですが、無知の怖さか、ボディの露出計がまともに動かないことを理由に買い叩いたのでした。それを受け入れた相手は、日本の相場を知らなかったのでしょう。
 記念すべきカメラとレンズですので、今のところ手放す気はないのですが、棺桶の中まで持っていくことはできませんから、いつかは誰かの手に渡るのでしょうね・・・。

このレンズについて

このレンズはVoigtlanderがZeiss Ikonと合併した後の製品で、銘板にこそCarl Zeissと書いてありますが中身はVITESSAやVITOMATIC IIIなどについていたUltronを一眼レフ用に設計し直したもので、Voigtlanderのレンズです。一枚目が凹レンズなのが特徴です。前からこのレンズを覗きますと、反射光が白っぽく、あまり高級なコーティングはされていないような印象を受けます。
 フィルター枠はバヨネットなので、専用品しか取り付けることができません。フードも専用が用意されていましたが、その取り付けはフィルター用のバヨネットではなく、先端部のローレットが実はネジになっていて、そこにねじ込むようになっています。ですから、フードをつけたままフィルターを交換することも可能です(専用フィルターを持っていませんので、あくまで予想ですが、ちょっとやりづらいかもしれません)。専用フロントキャップを持っていないので(見たこともない)、ニコンのφ52のキャップを使っていますが、これですと専用フードをつけたまま、キャップの着脱ができます(写真)
 また、絞りリングにクリックがないのも特徴の一つです。絞り込みレバーはついていますが、絞り込み側で止まらないため、マウントアダプターを使用してミノルタマウントカメラやFDマウントカメラで使用する場合は、レバーを保持してやらないといけません。ヤシコンマウントカメラであれば、絞りリングを回すだけで使うことができます。この辺は使い方の問題で、マニュアル絞りとなるヤシコンタイプがいいという人もいるでしょうし、プリセット絞り的に使える前者の方が便利という人もいるでしょう。

写りは・・・

開放からばりばり、というわけではありませんが、意外にもコントラストは高くしっかり写ります。標準レンズでよく体験するハロ、もやのようなボケがとても少ないのです。コマ収差は普通にあるようですが・・・2段絞れば不満はない状態になります。画角外からの強い光でフレアが生じることもありますが、変なクセもなくいいレンズではないでしょうか。


作例