このレンズについて
このレンズはAEJで発売された当初は確か\20000を切る(うろ覚え)定価でしたが、一度製造中止になった後にMMJになって再発売された時には倍増の\37000の定価となりました。50/1.7よりも高い値段です。パンケーキレンズブームをにらんでの価格設定だったのでしょう。
パンケーキレンズと呼ばれるレンズは各社から出ていましたが、その中でもトップクラスのコンパクトさと言えます。ヤシコンレンズの中では唯一フィルター枠径が49mm(その後発売されたテッサー100周年記念モデルではφ46mmになっている)です。
このレンズはまた、絞りによるピント移動が大きいことでも有名です。気にせず撮るか、開放またはF8以上に絞って撮れと言われます。私自身は今までピント移動なのかピント合わせのばらつきなのか判別できない程度のずれしか感じませんでしたが、一度ピント移動があるのかどうか調べてみることにしました。
まず、最短0.6mでの結果です。画面(フィルム)のほぼ中央を切り取っています。
F2.8 |
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開放ではやや甘く、絞って行くに従って文字の輪郭がはっきりしてきて、F5.6をピークにしてまた甘くなっていく(開放ほどではない)という傾向が見られます。 |
F4 |
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F5.6 |
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F8 |
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F11 |
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F16 |
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F22 |
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次に3mくらいの距離での撮影です。
F2.8 |
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このテストでは、被写体があまり良くなかったかもしれません。スキャンの条件もあって開放時のコントラストが高く見えますが、全体的には絞りの違いはあまりピントに影響していないように見えます。 |
F4 |
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F5.6 |
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F8 |
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F11 |
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F16 |
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F22 |
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そして、約20mくらいの距離です。
F2.8 |
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この距離でも、絞りによるピント移動はほとんど現われていないように思われます。あえて書くならば、開放で若干の甘さ、F16以降の回折による画質の低下があるようです。
このように比べて見れば何となく違うことがわかりますが、それぞれ単独で見た場合にピント移動の有無はわからないのではないでしょうか。個人的には、絞りによるピント移動は気にする必要はないと思います。 |
F4 |
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F5.6 |
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F8 |
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F11 |
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F16 |
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F22 |
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どうでもいい画像がたくさん並んでしまって済みませんが、これらの撮影には一応三脚とマグニファイアーを使って慎重にピント合わせをしたつもりです。
写りは
上のテストでは開放は甘いということがわかりましたが、実際の撮影では開放でも甘いという感じはあまりありません。下手に絞って手ぶれするよりはずっといい結果が出るようです。また、3群4枚という簡単な構成のため、抜けのよさも良く感じられるコマが時々あります。
暗い開放値、長い最短撮影距離、コンパクトすぎてやや使いにくい、などの理由から、今後も使用頻度は低いと思いますが、まだまだ手許に置いておこうと思います。
2005.09.10.
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