出会い
ヤシコンマウントのため、便宜上ここに分類しました。135/2.8というスペックは、本当にどこにでもあるもので、気にし始めると切りがないのですが、135/2.5というと、何となく興味をそそられませんか?
135/2になると大口径マニアと奪い合いになるので手が出せませんが、半段暗いだけでだいぶ入手し易くなるようです。このレンズもオークションで比較的安く手に入れました。
このレンズについて
マウントとスペックからやはりゾナー135との比較が頭に浮かびますが、性格はかなり違うと思います。ゾナーが高コントラストなのに対して、こちらは薄皮が一枚あるような感じがあります。明るい所に向けてマウント側から覗いてみると、コバが白く光っているエレメントがあります。これが薄皮の原因かもしれませんが、絞ってもあまり変わりません。しかし、不快な低コントラストではないので、使い方次第でいい味を出せるのではないかと思います。
これより追加になります。
その後、絞って撮影した時にひどくオーバーになることが判明しました。絞りが粘っていたのです。薄皮が一枚あるような感じは、絞り羽根の油だったのかもしれません。そこで羽根の洗浄を行ないました。構造は比較的簡単でしたので、洗浄はうまくいきましたが、それに安心してその後半年以上防湿庫の中で眠らせてしまいました。
ある日、何気なく絞り動作の確認をしたところ、なんと洗浄前と同じように羽根が粘っているではありませんか。これにはたまげました。狸にばかされているような気持ちでしたが、とにかく再び羽根の洗浄に取りかかりました。その過程で、おやっと思ったことがありました。このレンズは部品点数削減のためか、筒の底に絞り羽根が納められていて、その筒の外側にヘリコイドが切ってあるという構造になっています。しかもその筒の鋳造品質がよくないのが一目でわかります。あちこちに鋳巣があり、裏側まで貫通していそうなものもあるのです。
とりあえず、前回と同じように処置して、以後定期的に状況を確認することにしました。すると、やはり半年ほど経つと絞り羽根が粘ってきました。分解して油の出所をみると、やはりあの大きな鋳巣を通じて、ヘリコイドに塗ったグリスの液体成分がしみだし、裏側の絞り羽根にまで達したに間違いありません。
さて、原因はわかりましたが、対策はどうしたらいいでしょうか。工場でしたら含浸で鋳巣をふさぐという手があるのですが、個人ではそんなことはできません。接着剤をしみこませるなどの手を考えましたが、いつまでもつかわかりません。あれこれ考えた末にたどり着いた最終対策案は、ヘリコイドにグリスを塗らないこと、でした。しみ出すものがなければ、永遠に絞り羽根は粘らないはずです。
心配だったのは、グリスがないためにヘリコイドのガタが大きくなること、フィーリングが悪くなること、摺動音がでること、などでしたが、グリスなしで(実際にはフォーカシングリングと固定側との間のネジ部にはグリスを塗布する)組んで動かしてみると、静かな部屋では摺動音がわずかに聞こえるものの、フィーリングは悪くなく、ガタもないためグリスなしでも問題ないことがわかりました。
その後1年以上経っても絞り羽根には油がしみだしていませんので、実に効果的な対策だったと言えます。
しかし、その後実戦に投入してみたところ、新たな問題が発覚しました。露出が、開放の時は問題ないのですが、絞れば絞るほどオーバーになってしまうのです。レンズをのぞき込みながらシャッターを切ると、ちゃんと絞りは動いています。
これまでにも、開放時の露出に対し、絞るほどオーバー気味になるレンズがあることは経験していましたが、今回はそんなレベルではありません。ポジフィルムが素抜けに近くなるのです。
この原因を突き止めるのにずいぶん時間が掛かりましたが簡単に書くと、分解後の調整時、絞り開放側を基準に絞り羽根の位置を決めた(開放時、絞り羽根が完全に隠れるようにした)のですが、これだと最小絞り時の穴の大きさが大きくなってしまうことに気づいたのです。どうやら開放時でも絞り羽根はちょっと顔を出しているのが正解だったようです。これで、絞るほどオーバーになる不具合は解決できました(まあ、多少のばらつきはありますけどね・・・)。
写りは
ということで、ずいぶん時間と手間を掛けさせられたレンズですが、それほど愛着が湧いてきていないのはなぜでしょうね(^_^;。
絞り羽根を拭く前は薄皮を通した写りだったわけですが、清掃後は薄皮を感じなくなりました。感じないとは言っても、ゾナーとはかなり違う印象であることは変わりありませんし、他社の135mmと比べても甘めの描写であることは確かです。そこにこのレンズの存在意義があるし、そう考えないとやってられませんわ(^_^;
(2003.08.03追補)
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