SEPTON  1:2/50

このレンズについて

 1962年頃、ULTRAMATICやBESSAMATICの標準レンズとして登場したレンズです。開放値はPROMINENT35用NOKTONのF1.5に次ぐ明るさで、VITESSAやVITO IIIに搭載されたULTRONと同じF2です。光学系の構成はULTRONの発展型と言われているようで、実際ULTRON(5群6枚)の前から3枚目がSEPTON(5群7枚)では2枚貼り合わせになっている点が大きな違いで、その他は似通っています。SEPTONのSEPTは7の意味です。
 デッケルマウントのレンズ、特に中望遠から広角のものは、一部を除きコンパクトなものが多いのですが、このSEPTONはかなり貫禄があります。ULTRAMATICにCOLOR-SKOPARではバランスが良くないですが、SEPTONをつけるとほれぼれするほどかっこよくなります。アダプターを介してコンタックスのAXなどにつけても、ボディに負けない存在感を発揮します(言い過ぎかもしれない)。私がこのレンズの存在を知った頃はかなりの高額で売られていましたが、最近はブームの沈静化もあって、だいぶ下落しているようです。
 このレンズも最短撮影距離が長いタイプと短いタイプがあるのですが、手元にあるのは長いものばかりです。AXで使えば問題ないのですが、本来のボディがあるので、やはりそちらで使ってやりたいと思うと、最短が0.9mというのはつらいものがあります。

写りについて

 今では50/2というと普及版、廉価版のスペックですが、発売当時は十分大口径なレンズでした。SEPTONはフォクトレンダー135判カメラの顔としての役目を背負っていたはずですが、今使ってみてもその実力がわかる気がします。開放ではたいていのレンズはコントラストが低くなったり周辺の光量が落ちたりしますが、このレンズは開放からコントラストが高くて周辺光量落ちもほとんどなく、またなぜか被写界深度がかなり深く見えるという特性があります。まあ、開放時の写らなさを楽しむとか、絞ることによって変化する描写を楽しむ、といった使い方はできないので、廃人向けではないと思われます。

 気になるのは、今回の作例を撮影したレンズと、別のSEPTONの描写がかなり違うことです。別のSEPTONは普通のレンズという感じで、すごさを感じないのです。一体どちらが本当のSEPTONなのでしょう?

2002.11.18.


作例