このカメラについて
左上の写真はレチナIIIcヘリゴン50mm 1:2付き(#021)です。長老から譲り受けたもので、これがレチナとのつき合い初めです。露出計が高照度時と低照度時で前蓋を開けたり閉めたりしなければならない煩雑さがありますが、露出計も距離計もついているため、安心して写真が撮れるということで、クラカメ初心者のころはよく使いました。最近の嗜好が一眼レフにシフトしているため、レチナに限らずレンジ(ビュー)ファインダー機全体の出番がないのが現状です。
出番がないにもかかわらず、最近になってIIIC(#028)、いわゆる大窓(写真上右)を買ってしまいました。困ったものです。こちらはクセノンがついていますが、写りに関しては素人さん相手ならこちらの方が受けがいいようです。大窓というのは、写真でわかる通りファインダーや距離計の窓が大きくなっているためです。小窓は50mmのフレームしかありませんが、大窓には35mm,
80mmのフレームも書かれていますので、前群ユニットを交換して使用する時に外付けファインダーが不要というメリットがあります。ファインダー倍率は心持ち大きい程度でそれほど変わらないようなのですが、視野が広くなるためフレーミングやピント合わせは小窓よりやりやすい反面、関係ない焦点距離用のフレームが鬱陶しく思えるときもあります(写真右参照)。
注) 右の写真は撮影機材の限界のため、実際にファインダーを覗いたときのようすとは違っていますのでご了承ください。
蛇腹レチナでCまたはcがつくタイプは、絞りから前のユニットを交換して、焦点距離を変えることができます。交換エレメントは35/4用、35/5.6用、80/4用がありますが、クセノン、ヘリゴンそれぞれ専用となっていますので、クセノンつきボディにヘリゴン用(またはその逆)を取り付けることはできません。それから、焦点距離が変わりますので、当然距離計と連動しなくなります。このため、一度距離計で被写体までの距離を測った後、その距離を35mmまたは80mmに読み替えてやる必要があります。大窓も小窓も同じです。これが意外と面倒なため、レチナレフレックス(オリジナル)の存在が意義を持ってくるのです。
使ってみて
距離計も露出計も内蔵しているため、とりあえずカメラひとつで撮影できるという安心感がいいです。
このカメラ(IIC/c,IB/b含む)には二つ、重要な作法があって、これを守らないと破損にもつながりますので注意が必要です。一つは、他のレチナにも共通しますが、ヘリコイドを無限遠の位置にしないと前蓋が閉まらないということです。もう一つはフィルムカウンターです。減算式カウンターが1を指すと、ロックがかかってたとえフィルムがいくら残っていても巻き上げができなくなります。これは、巻き上げ機構に強度が高くない部品が使われており、フィルムが終わった後に無理矢理巻き上げようとするとその部品が破損する可能性があるため、これを防止するのが目的のようです。カウンターが1になったときや、新しいフィルムを入れてコマ数をセットするときは、カウンター板のセンターに立っているピンを押しながら、トップカバー背面にある丸いボタンを右にスライドさせます。
写りは
ヘリゴンもクセノンもよく写ります。両者の写りには多少差があるのですが、それを言葉にするのは大変難しいことです。ただ、レンズの違い云々とは無縁の人々には、クセノンの方が受けがよいのは確かなようです。
2004.05.23. 作例追加
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