WOLLENSAK 127MM f/4.5  ENLARGING RAPTAR

このレンズについて

 名前からわかるように、ウォーレンサックの引き伸ばし用レンズです。ニコンに引き伸ばしレンズのEL NIKKORと撮影用レンズのNIKKORがあるように、撮影用レンズのラプターも存在します。
 このレンズの焦点距離は127MMですが、その他75MM、4インチ(101mm)などがあります。どれも銀色の仕上げが美しく、レンズキャップもとても贅沢な作りです。

さて、どうやって取り付けよう

 では、実際に撮影するためにカメラ(このサイトでは35mm判に限ることにします)に取り付けましょう。焦点距離が127MMですから、無限遠はどの方法(カメラ)でも出せます。今回は、オリンパスのOM4Tiを使うことにしました。
 手持ちの中間リングやヘリコイドをいろいろ組み合わせて最適な長さを検討した結果、レンズ+ミニマクロ(注1)+Tリング+エクステンションチューブ7mm+エクステンションチューブ24mmX2+OM4Tiという構成で、無限遠から2mくらいまで撮影できることがわかりましたが、この遊びで一番頭を悩ませるのがレンズとヘリコイド又は中間リングをどうやって結合させるか、という点です。これが解決すれば95%は完成したようなものです。
 このレンズは、決まったサイズのボードにナットで取り付け、それを引き伸ばし機にセットするのが本来の取り付け方ですので、何とか同様の方法でやりたいところなのですが、ねじ径がカメラのマウント内径に近いのでそれができません。そこで苦肉の策として、ねじ部にビニールテープを巻き付け、その弾性でミニマクロのねじに固定することにしました。ぱっと見にはわかりませんし、試写の間は十分持つくらいの強度が出ました。あとはミニマクロをビクセンのTリングにねじ込み、Tリングをオリンパスのエクステンションチューブに取り付け、最後にOM4Tiに取り付けて出来上がりです(下の写真左)。
ちなみに、ヤシコンボディにつける場合は中間リングの13mm+20mmで何とかなります(写真右端)。

注1) ミニマクロというのは、アメリカのカメラ屋で見つけた、マクロ撮影用の簡易ヘリコイドです(下の写真中の二枚)。生産国はドイツで、外周に取り付けるレンズの焦点距離に対するデータ、たとえば105mmのレンズをつけると無限遠から92cmまでの撮影ができる、というようなことが書いてあります。おそらく、専用レンズなどを含めた簡易接写システムの一部だと思われます。
雌ねじはライカスクリュー、雄ねじはTマウントですので、ライカスクリューマウントのレンズをつけ、Tマウントリングを介して35mmSLRに取り付けるという使い方だと思います。回転ヘリコイドのためレンズの位相が一定せず、絞りを変える時はちょっと面倒です。しかし、異種格闘技には心強い見方です。

写りは

 ウォーレンサックレンズとの出会いは、知人からもらったCiro35というアメリカのカメラが最初でした。カメラ自体はかなり簡素な作りでしたが、上下像合致式距離計を内蔵していました。シャッターも単純な構造でたいへんブレやすいものだったため、今は全然使っていませんが、写りは独特というか、決して高性能という感じではないんだけどほのぼのと写るのが割と気に入っていました。そんな過去があったので、このラプターを見つけたときには飛びついたのでした。
 OM4Tiのファインダーを通してみる限り、なかなかシャープでピント合わせもし易いのですが、逆光ではかなりフレアが出ます。撮影用には考えられていないので当たり前ではありますが、手でハレ切りをしてやるとぐっと引き締まってきますので、普通に使おうと思ったらぎりぎりまで深いフードを用意してやる必要があります。前枠の外径はφ36弱ですので、このサイズのかぶせフードが見つからなければ全部自作するしかありません。今回はそこまでできなかったので、フードなしでの撮影でした。
 さて、肝心の撮影結果ですが、Ciro35で感じたウォーレンサックらしさみたいなものは感じませんでした。性能的にはこちらの方が上だと思いますが、良くも悪くも普通です。アガリを見て引き伸ばしレンズだとわかる人は少ないのではないでしょうか。しかもウォーレンサックだとは・・・ポートレートなんかも撮ってみたいですが、逆光シーンはちょっと心配。その前に、モデル調達の問題を克服しなければなりませんが。

2001.11.04.

作例