Planar  1,4/85 T*

このレンズについて

 Carl Zeissのレンズの中でも特別なステータスがあったようです。このレンズを使うためにヤシコンボディを買った人も多かったらしいです。しかし、単に数値的性能を捉えれば、ずっと優れたレンズが今の国産品にあるようですし、買ったもののもてあましてしまって手放す人も多いせいか、オークションなどでも頻繁に見られ、相場もかなり下がってきています。

 有名なレンズですので、web上でもたくさんの情報がヒットすると思います。それらを超えるインプレは、正直なところできないんですが、まあ気負わずに書いてみます(^_^;
 このレンズにはマルチモード非対応で旧西ドイツ製のAEGとマルチモードに対応したMMG、日本製でマルチモード対応のMMJの3タイプがあります。マルチモード対応/非対応で何が違うのかというと、はっきりしたことは知らないのですが、絞り機構の構造が違うようです。それに伴い(かどうかも確証がないのですが(^_^;)、AEタイプでは絞っていくと二段くらいまでの間、絞りの形状にとげがあるような形になっていたのが、MMタイプでは円に近い多角形になりました。この違いは、点光源のボケの形に顕著に現われ、AEタイプの形状はボケ方が汚くなるということで忌み嫌う向きがあるようです。私の知る限りではオリンパスズイコーレンズの中に同様の絞り形状をしているものがいくつもあるし、コンタレックスや一部のローライ用レンズなどにも強烈な絞りの形をしているものがあるのですが、ズイコーユーザーで絞り形状のことを気にしている人を見たことがありません。だいたい、ヤシコンユーザーです。この辺はおもしろいですね。

 さて、手許にあるのはマルチモード対応のレンズですので、f:2で撮影しても点光源はほとんど円です。開放で撮ったものとf:2で撮ったものを比較すれば、ボケの大きさで判別できますが、どちらかだけを見せられた場合、区別するのは難しいと思われます。

 このレンズは鏡胴の外径に対して前玉の径が大きく、見ていると吸い込まれるような感じがします。私の非常に好きなたたずまいのレンズです。
 しかし、通常の撮影ではあまり使用しない焦点距離だったこと、またずしりと重いことから、使用頻度はかなり少なく、たまに使ってみてもピントが合わなくて次に持ち出す気にならず、防湿庫の肥やしになっていたのです。

 買った当時、ボディは167MTしか持っていなかったのですが、その他いろいろなボディを所有するようになり、また環境が変わってポートレイト撮影も多くなってきてこのレンズを使ってみると、なぜかあのころよりピントも合い、あらためて見直しているところです。

写りは

 買ったばかりの頃はいつも持ち出すわけですが、ピントがなかなか合わないんですよ。合わせたのに合っていなかったというよりは、どこがピントの山なのかわからず、えいやで決めていたという感じです。当時は167MTでしたが、今同じ組み合わせでもそれほど合わせにくい感じはありません。不思議です。あの当時と今で違う点と言えば、純正P-フィルターを外して使っているという点です。外したフィルターはどこかへ行ってしまったので、再現テストはできませんが、フィルターを外したら写りが変わったという話はごくわずかですが聞きますので、フィルターに問題があったのかもしれません。

 で、写りですが、ポートレイトなど比較的近距離で撮影した場合は、開放ですとボケがフレアを伴うような
感じになるのですが、数m離れるとそうではなくなるようです。開放では甘く、絞るとシャープになると言われていますが、ピントが合っているところのシャープさは開放から十分あり、ただフレア・ハロがあるので甘く見えるのだと思います。残念ながらポートレイトのアガリは掲載することができませんが、作例のように数m以上離れた時には開放でもフレアやハロは感じません。

 今回、Sonnar85mmとどちらを持ち出そうかさんざん迷ったあげく、暗くなった時のことを考えてPlanarを選びましたが、結果的にこのレンズの良さを再確認することができてよかったと思います。

2003.08.11.


作例