このレンズについて
このレンズはフォクトレンダー製品の中で一番大口径のレンズです。これが装着できた自社のカメラはプロミネント35だけでした。プロミネントのページにも書いてありますが、繰り出し機構がボディ側についているので、レンズにはヘリコイドがなく、単純な構造になっています。構成は6群7枚、絞り羽根の枚数は15枚です。
所有しているノクトンは初期型(もっと初期のタイプもあるらしい)のようで、フードはかぶせ式しか取り付けられませんが、後になるとローレット上(先端方向)にジを切ったタイプが出て、このネジにねじ込むフードも登場したようです。私は実物を見たことがありませんが、イカレックスのねじ込みレンズフードみたいなものだったのでしょう(イカレックス用レンズフードの材質はラバーでしたが、こちらは当然ゴムではなかったと思います)。
写りは
このレンズが発売されてから55年になります。私の個体は初期型ですから、それくらいの年齢ということになります。測定装置で測定すれば、数値的な性能は高くないに違いありません。普通、コマフレアは画面の周辺に多く出るものですが、このレンズは真ん中に近い部分でもけっこう出ます。開放では周辺の光量低下もあります。こんな弱点を抱えていても、持ち続けようという気になるレンズです。
カメラの主流がデジタルカメラに移行している昨今ですが、某サイトでこのレンズをデジタル一眼につけて撮影したというページを見つけました。デジ一はごく一部を除くとミラーが小さいので有利なのはわかりますが、無限も出るみたい。どうやったんだろう、と記事を読み進めると、レンズの後ろの金具をぎりぎりまで削り、ボディキャップに穴を明けてそこにはめ込むだけ。ヘリコイドはなくてピント合わせはボディキャップから引き出したり押し込んだりして合わせる、というようなことをやっていることがわかりました。
ノクトンの結ぶ像を一眼レフのスクリーンで直接覗けるというのは非常に興味深いですが、デジ一もないし、レンズを削るのはいやだし、ボディキャップに押し込んだり引き出したりはあまりスマートじゃないなあと思うので、自分ではやる気はありませんが、これをやったサイト管理人さんにはおめでとうと言いたいですね。自分は最初から無理と思いこんでいてこんなことを考えたこともなかったですから。
そんなことを考える人がいるほど、このレンズは人を惹き付けるのだということですね。
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