出会い
記憶が定かでないのですが、最初に手に入れたトプコンは、確か酒屋で買ったこのカメラでした。その後、UNIとかUNIREXとか白ボディのIC-1とか、いろいろ仕入れましたが、現在かろうじて動いているのは写真の後ろにある黒いIC-1とUNIREXです。ボディが逝ってもレンズはだめになりませんので、標準レンズが4本になっています。IC-1とともに生き残っているUNIREXについては別項で書くことにします。
このカメラについて
トプコンといいますと、今は土木工事用測量機器とか視力測定装置などでその名前を見ることが出来ますが、以前はカメラを作っていました。1950年代終盤から、上中級機としてのフォーカルプレーンシャッター機と入門用としてのレンズシャッター機を並行して作り続けてきたのですが、安価なフォーカルプレーンシャッター機が続々登場し、逆にコスト高になってきたレンズシャッター機は次第に売れなくなり、レンズシャッター供給元もついに撤退することになります。供給の断絶に伴い、レンズシャッター機の生産もできなくなってしまいました。
しかし、レンズは残ります。この資産を生かすため、トプコンはこれまでのレンズシャッター機のマウントを使用したフォーカルプレーン機を作ります。それがこのIC-1です。シャッターの最高速度もレンズシャッター機と同じ1/500秒なのは残念ですが。
IC-1には新旧があります。旧はペンタ部のシューが単なるアクセサリーシューであること、バッテリーチェックの方法が「スピードをBにセットし、シャッターを切り幕が開いていれば撮影OKです」というものですが(右の写真2参照)、新型はホットシューになり、バッテリーチェックもレリーズボタンを押し下げた時(巻き上げてなくても可)ファインダー接眼部の上部に設置された緑のLEDが点灯すればOKという機構に改善されています(写真3参照)。電池はSR44を2個使用しますが、SR43もサイズ的には使えます。ただし、耐久テストはしていません。また、LR44が使えるかどうかも試したことがありません。
このカメラにはUV TOPCORまたはHI TOPCORマウントのレンズが使用できます。このマウントは、レンズの開放値をボディに伝える機構をもっていません。従って、シャッター速度優先AEを正確に機能させるには、レンズの開放値を手動でセットしてやる必要があります。エプロン部向かって左下に見えるダイヤルがそのためのものです。1.8から5.6まで、レンズの開放値をここでセットします。
使ってみて
●レンズシャッター機のシャッターだけを無理矢理フォーカルプレーンにしたようなものですので、シャッター速度ダイヤルがマウント部にありますが、OM-1などと同じなので違和感はありません。シャッター速度優先AEなのですが、この個体はCdSの反応がだいぶ緩慢になっているようで、あまり当てになりません。動かなければあきらめもつくのですが、一応動いて、露出ばっちりの時もあるのでついついAEにしてしまいます。それでもリバーサルフィルムを使用する時は、不安なので単体露出計を片手にチェックしながら撮影しますが、やはりけっこうずれています。
●レンズの開放値をボディにセットしなければならないと書きましたが、これを意外と忘れやすく、レンズ交換して何枚か撮った後に「あっ!」と気づくこともしばしばです。この点は実用上非常に不便なものですが、このカメラの生い立ち上、どうにもならない部分ではあります。
その他
一番上の写真のクロームボディの方が旧型ですが、ある日巻き上げが出来なくなってしまいました。底蓋を外してみますと、通常のカメラの場合巻き上げレバーの回転はギアを介して伝達されるのに、このカメラではスチールワイヤーを使っていることがわかりました(写真4参照、ただしこの写真は正常のもの)。確かにギアの連結よりは安くあがりそうですが、ワイヤーにはかなりの負荷がかかっているようです。ホームセンターなどで代替品を探して取り付けてみましたが、一回の巻き上げにも耐えられないため、修理を断念しました。このワイヤーが無事なジャンクを探し出すことができれば、復活は可能なのですが・・・。
2002.10.24.
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