このレンズについて
ローライSL35シリーズやフォクトレンダーVSL3-Eなどに採用されているQBMマウントカメラ用のレンズです。
このレンズはeBayで落札しました。そのオークションは最低落札価格が設定されていて、私の入札価格もそこに届きませんでした。そして、その後誰の入札もないままオークションは終了してしまいました。こうなった時、出品者から何か連絡してくる場合がありますが、これはほとんどありませんから、どうしても欲しい場合、出品者と交渉することが必要になります。これはeBayのシステム外の取引になりますので、危険を伴います。そんなわけで、再出品されたら最低落札価格だけでもチェックする程度にとどめておこうと思っていたんですが、翌日eBayから「出品者がアナタの入札価格で売るといっている。もしこの申し出を受けるなら、次のページにアクセスしてBuy
it nowのボタンを押してください」というメールが来ました。いつからこんなシステムになったんだろう。まあ、いいことではあるが。しかし、そんなに売り急ぐということは、何かあるのか?(実際、ちょっとあったけど、何とかなった)と思いながらも、バイイットナウのボタンを押してしまいました。わはは。
ヤシコン用は市場に多数出回っていますが、QBMマウントのPlanar 1,4/85はあまり多くないようです。コンタレックスマウントでも発売されましたが、こちらはある資料によると400本しか市場に出ていないようで、さらに希少でしょう。コンタレックスマウント、ヤシコンマウント用がT*コーティングなのに対し、QBMマウント用はHFTコーティングで、T*より優れているとする向きもあります。Planar
1,8/50 HFTなどは確かにレンズの反射光の色が独特で、T*とは違うというのもうなずけますが、少なくとも手許にあるPlanar
1,4/85は、反射光の色に関してはヤシコン用とほとんど差を感じません。
Planar 1,4/85は、1973年に最後のコンタレックスマウントレンズとして登場していますが、その光学系はQBMマウントやヤシコン用と同じとされています。大きな前玉がその存在感を主張する鏡胴先端部のデザインは、3種類のマウント用に共通した大きな外観上の特徴になっています。
このレンズの最大の特徴は、絞りの形状でしょう。羽根の数は9枚ですが、それらが形作る絞りの形は、まさにおにぎりです。現物を見る前からこの形状のことは噂に聞いていましたし、Carl
Zeissがボケに関してはほとんど(全然)考慮していないということも聞いていましたが、そうだとしてもおにぎり形状にした意味がわかりませんでした。しかし、実物を見て、なんとなく理由が推測できました。それは、大きな瞳をF16まで絞り込むための羽根を、限られた鏡胴のスペースの中に納めることができなかったため、やむを得ず3枚で1枚の役目を果たすようにさせたのではないか、ということです。絞りの写真を見ていただくと、私の推測がどういうことかわかっていただけるのではないかと思います。まあ、あくまで素人の推測ですので、本当の理由は別のところにある可能性は高いですが。
写りは
基本的にはヤシコン用と同じですから、写りもそれほど違うようには感じません。ヤシコン用のAEGと同じように、レンズを斜めから見るとエレメントのコバが白っぽく見えますが、そのせいでコントラストが弱くなるというような影響は感じませんでした。極端な条件で撮っていないということもありますが。
さて気になるおにぎり絞りの影響ですが、全然関係ないですよ、と書きたかったのですが、さすがの私もそうは書けませんでした。明らかにボケは汚いです。やたらがちゃがちゃしたボケです。点光源はみごとなおにぎりになっていて、特殊フィルターでも使ったのかという感じです。さすがのCarl
Zessもこれではまずいと思ったのではないでしょうか、ヤシコン用のAEGで矢車形状ながらも正八角形とし、MMタイプでようやく普通の正八角形にできた、そんな苦労を感じます。
アガリを見ていて思いついたのですが、このレンズは近距離では収差が大きいが、ある程度離れるとかなり改善される、そんな特徴を持ったレンズなのではないでしょうか。はっきりした境はわかりませんけど、2m前後から近くはピントの山がつかみにくく、甘い描写になっていますが、それ以上に離れるとシャープさが出てくるような感じです(開放での話)。開放で撮る時は2m以上離れる、そんな使い方がいいかも。まあ、自己責任でお願いします(^_^;
2004.07.22.作例追加
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