FT-1 MOTOR   

このカメラについて 

 コニカの、本当に最後に近いころの一眼レフカメラです。コニカボディの末期は、機能はともかくとして個人的には我慢のできないデザインの機種が多かったのですが、FT-1だけはなぜか一目惚れしてしまいました。角の丸いデザインが手や目に馴染みやすかったのかもしれません。入手できたのは銀黒ですが、他に黒一色のものもあり、個人的には黒の方がかっこいいと思っています。
 このカメラはワインダーを内蔵しているので、巻き上げレバーがありません。しかし、巻き戻しは従来通りの手巻きとなります。また、フィルム先端が巻き上げスプールにかぶる程度までセットしておけば、裏蓋を閉めたときに自動的に頭出しをしてくれます。

 このカメラを手に入れたとき、フィルムを入れて裏蓋を閉めても頭出しできずに止まってしまうという不具合があり、悩んだことがあります。何度かトライしていると、フィルム先端が溶けたモルトでべたべたになってきたので、フィルム室になにか原因が、と思って調べたところ、フィルム室内側に帯状の薄いスポンジが貼り付けられていて、これが変質していたためにフィルムがここにくっついてしまい、巻き上げられなかったことがわかりました。そこで変質した物質をせっせと除去して再度トライしたところ、今度はちゃんと巻き上げられました。今のところ何の不具合も出ていないので、何のためにあそこにスポンジ?が貼り付けられていたのか、いまだにわかりません。

 コニカは、一貫してシャッター速度優先AEを採用してきました。このカメラも当然そうです。レンズの絞りをAE(EE)に合わせておけば、選択したシャッター速度に合わせて絞りが制御されます。シャッター速度は1/1000秒から2秒までとBが選択できます。AEロック機構もあります。ロック解除ボタンを押しながら電源スイッチを時計方向に回すことでAEロックモードになり、シャッターボタン半押しで露出をロックします。露出補正は1/3段飛びで±2段、巻き上げは連続とシングルを選択できます。
 電源は標準で単4電池4本ですが、オプションで単3電池4本用のバッテリーケースがありました。また、上の写真で巻き戻しクランクの下に見える突起はアクセサリー端子で、カバーを外すと5個の端子が出てきます。ここに接続できるアクセサリーがいくつかあって、基本的なところではケーブルスイッチ、ベローズを使用するときのダブルケーブルスイッチ、ユニークなところではラジオコントローラーセット、左手レリーズ用スイッチ、その他インターバルタイマー、オートフラッシュX-36などが説明書に載っています。

使ってみて・・・

●シャッターボタンのストロークはそれほど長くないが、節度がないので感触があまりよくない。
●プレビューボタンがないのは中級機だからか。実際にはほとんど使うことがないが、たまに見たくなるときがあるので気になる。
●レンズの開放値はボディに伝わっているはずだが、ファインダー表示にフィードバックされない。つまり、開放値3.5のレンズを装着しているとき、ファインダー内の露出計が絞り値2を指していても、何の警告も出ない。装着レンズが何かを常に意識していなければならないのは不親切ではないか。
●不満ばかり書いてしまいましたが、使っていて楽しいカメラです。今後もヘキサノンレンズの母艦として活躍してもらいたいと思います。

2001.12.02.