ファインダーに関する考察

何を考察しようというのか

光学に関して、私は理論的なことはあまりわかりません。これから書くことはあくまで実際に目で見たこと、体験したことがベースになっています。そこをご理解の上、お読みください。

 さて、通常の一眼レフカメラでは、レンズ光軸とフィルム面は垂直になっているはずです。実際にピントを合わせるのはスクリーンのマット面上ですが、ここも等価的にレンズ光軸と垂直になっているはずです。つまり、スクリーンとフィルム面は等価的に平行でなければなりません。当たり前ですね。
 また、等価的に平行であると同時にマウントからの距離も同じでなければいけません。もし両者が平行でなかったら、あるいは距離が違ったら、いくら一生懸命スクリーンでピントを合わせても、ピントの合ったアガリは得られないでしょう。
 通常、合わせたつもりなのにピンぼけになっていた場合、「失敗しちゃった」とか「訓練が必要だ」とか考えるのではないかと思います。が、訓練ではどうにもならない原因でピントが合わないことがあることに、ひょんなことから気づいてしまったのです。今回は、その顛末を書いてみたいと思います。

事の起こり

 OMシリーズのファインダーは倍率・視野率ともにかなり高く、ピント合わせしやすいと言われていますが、ファインダー光学系の収差が大きいらしく、周辺での確実なピント合わせは正直なところかなり困難であるという印象を持っていました。また、OM-2S/P〜4TiBの一桁機用の2-4/13というスクリーンがありますが、これを装着すると大変きれいな世界が眼前に広がるものの、ピントの合わせにくさを助長するデメリットの方が大きいということも感じていました。

 一方、一部では有名になっていますが、コンタックスのボディに装着してピント検出能力を上げるガラス製のTalbergスクリーンというものがあります。暗いレンズや暗い場所ではピント合わせしにくいというデメリットはありますが、被写界深度の浅い大口径レンズを使う場合の安心感は何ものにも代え難いものです。このスクリーンを、OMボディに入れたらどうなるだろうと考え、製作者にOM用製作を打診したところ、販売数が期待できないため製作できないが、RTS II用がサイズ的に近いので削って使ったらどうかと提案されました。そこで、RTS II用を購入して削り、OM-4に装着してみました。すると、明らかに周辺部でのピント検出能力が改善されました。ピントの山がはっきりわかるのです。これはすごいということで、早速試写に出掛け、わくわくしながら結果を見たのですが・・・

ピントが合ってない

どうもおかしいのです。ここにピントを合わせたはずなのに、全然違うところにピント面がある。かといって、すべてがピンぼけな訳ではない。一コマずつよく見ていくと、周辺部でピントを合わせたコマでピンぼけが発生し、真ん中であわせたものはぼけてないことがわかりました。最初はスクリーンのせいかと思い、Talbergスクリーンの製作者に投げかけてみたのですが、スクリーンには直接関係なく、そういう事象は少なからず実在すると言われ、ショックを受けました。
 ショックを受けているだけでは仕方がないので、もう一度実写テストをしてみることにしました。まず、壁にカレンダーを貼り付けます。新聞でも広告でもいいのでしょうが、平面性、文字の大きさなどからカレンダーを選びました。次にカメラを三脚に据え、光軸をカレンダーに垂直にします。レンズはズイコーの中でも性能に定評のある?マクロ50/2を装着しました。水準器を使用して、できるだけ厳密に垂直を取りました。こうやって、恐る恐るファインダーを覗き、ピントを合わせようとしたところ、真ん中で合わせようとすると上下がピンぼけになる(下の方がよりひどい)。上で合わせれば下が、下で合わせれば上がピンぼけになる。とりあえず真ん中で合わせて撮影。次に、ファインダー上で全面にピントが合うようにカメラを振って撮影。その結果が次の写真です。(いいスキャナを使っていませんので、厳密な比較は困難ですが、違いはわかって頂けると思います。)
 ファインダー上では全面にピントが合っていませんが、フィルムではちゃんと合っています。
           
@ A B C D

 次に、ファインダー上で全面にピントが合うようにカメラを振って撮影した結果です。
           
@ A B C D

 この結果から言えることは、まずレンズの収差によるピンぼけではないこと、光軸とフィルム面は垂直で、像面とフィルム面も一致している。しかしスクリーンがフィルム面に対して等価的に平行でない(ミラーの角度が狂っている)、ということです。(試しに他のボディで同じテストをしてみたところ、こちらは実用上問題ないと判断できるレベルでした。)

やはり修理が必要だが

 安心して使うには、修理が必要です。一部の(普及型)一眼レフカメラでは、ミラーのストッパーでミラーの角度を微調整できるものがありますが、このボディではそんなことはできないようです。仕方なくオリンパス(小川町)に相談してみたところ、工場へ連絡してくれとのこと。工場へ連絡すると、とりあえず送れとのこと。あまりやりたくない様子なので、一部で評判の某修理業者にもメールで連絡してみました。すると後日電話があり、いろいろ問診を受けた後、とりあえず送ってくれという話になりました。オリンパスに送るか、この業者に送るか考えましたが、オリンパスでは修理不可で戻ってくる可能性がかなり高いため、業者に頼むことにしました。

修理したとは言うものの

 しばらくすると、いきなりカメラが戻ってきました。まずは直るのか直らないのか、見積もり金額などの先行連絡があると思っていたので面食らいましたが、直ったのならそれでいいかと思い、さっそく確認のため同じテストをしました。すると、全然変わってないじゃないですか。多少は改善されたような気はするものの、ピンぼけは明確です。そこで、業者に連絡を取ってみました。すると、「できるだけのことはやった。しばらく使ってみてくれ。」とのこと。わかりましたと答え、たまたま同時期に入手していたレンズの比較テストのために持ち出して、使ってみました。でも、やっぱり使っていて不安です。ファインダーがあてにならないのでは一眼レフの意味がありません。そこで、再度調整をお願いしました。二ヶ月近く経って、ようやく戻ってきましたが、「このフレネルレンズではピントの精度はこの状態で限界です。」というメモが入っていました。スクリーンをフレネルレンズと言うのは正しいのか? そういえば最初の修理時の修理票にも「距離計修理」と書いてあった。用語の使い方は正しいのか? これで、この業者に対する不信感はさらに強まったのでした。

これからどうする?

 結局、ほとんど変わらないままのボディが手許にあるわけですが、どうしましょうかね。売り払うことも考えましたが、二束三文で売るのは忍びないし、かといって不具合を黙ったまま売るのも良心が咎める。ダメ元でオリンパスに修理を依頼するか、このまま使うか、死蔵するか・・・もう少し考えることにしましょう。

で、言いたいこと

 経過説明ばかりで全然考察になってないかもしれませんが、私がここで書きたかったことは、次のような点です。
 MFカメラでの撮影時、ピントを外す原因としてミラーの角度が正しくないことがあり得るということ。そしてそれは使用により狂うかもしれませんが、(あとから調整ができないならば)出荷時にすでに狂っていた可能性もあるということ。その狂いが、ファインダー系の収差と純正スクリーンの組み合わせによりわからないのかもしれないということ。Talberg等のスクリーンを入れてみることにより、それが明確になるかもしれないということ。この事象がオリンパスのボディに限った話ではないこと・・・

 MFでの合焦率に不満のある方、ボディにより合焦率に大きな差がある方、一度スクリーンをTalbergやMINOLTA Mスクリーンなどに換えてみたらいかがでしょうか。真の原因がわかるかもしれませんよ・・・

                                  2003.03.26. 一部加筆