Retina-Eurygon f:2,8/30mm

出会い

 このレンズはオークションで落札したものです。Rodenstockのレンズというのはたいてい高値になるものですが、どういうわけかこれはあまり高値にならず、リザーブ価格に達しただけで終了してしまい、私のものになりました。実物を見るまではちょっと心配でしたが、ガラスは美品とまではいかないものの、十分満足できる状態だったので、ヘリコイドがすかすかだったり渋かったりするのは気になりませんでした(自分で対策しちゃったし)。
 銘板にはRetina-Eurygonと書いてあり、本来はレチナIIIS/レチナレフレックス用のレンズですが、前所有者がマウント部にあるメーカーの識別爪を削ってしまったため、ベッサマティックやウルトラマティックなどの他社ボディにも装着することができるようになっています。
 

使ってみて

 Eurygonと書きますが、カナ表記ではユリゴンと書かれるのが一般的です。たまに、ドイツ語読みでオイリゴンと書いてある場合があります。レチナ用のデッケルマウント以外にM42やEXAKTAマウントのものもあります。M42マウントのものは使用できるボディが多いため、高値で取引されています。
 レチナにはローデンストックの他にシュナイダーからもレンズが供給されていました。画角的にこのレンズに相当するシュナイダー製品はクルタゴン28/4と考えられますが、一段明るいこちらの方がピント合わせをし易いという実用性に加え、持っていてうれしい感じがします。
 レンジファインダー機のレチナIIISでの使用が前提のため、広角レンズでありながら被写体に1mより近寄ることができないのが残念ですが、デッケル-M42アダプターとM42-Y/Cアダプターを使ってCONTAX AXに取り付けると、約20cmまで近づくことができます。純正ボディでないため自動絞りが利きませんが、近寄れる点はかなり有利です。
 フィルター枠のサイズはφ58ですが、28mm用でφ58というフードは持っていないので、これから調達しなければなりません。

写りは・・・

 開放では四隅の減光や背景のボケが回るのが顕著で、ハロが見られることもありますが、甘さは感じません。十分シャープです。ボケ方も素直でうるささを感じません。なかなかいいレンズだと思います。

2002.06.20.


作例