COLOR-SKOPAR 1:3,5/50

このレンズについて

 見てすぐおわかりの方も多いかと思いますが、これはフォクトレンダーVITESSAに付いていたレンズです。VITESSAは距離計連動式カメラですが、内部のミラーが外れてしまい、距離計が使えなくなってしまいました。目測式としてならそのまま使用できるのですが、VITESSAを目測カメラとして使う気にもなれず、ずっとお蔵入りになっていたのです。レンズだけ取り出して・・・というのは今までにも時々考えたのですが、今回ようやく実行に移す気になりました。

 目測カメラとして使う気にはならないと言っても、復元不可能な加工はできるだけ避けなければなりません。注意深くユニットをボディから外します。そしてカメラにあてがってみました。すると、マウント面からちょっと奥に入った位置で無限遠が出ることがわかりました。レリーズしてもミラーは干渉しません。これだけ確認したのち、本格的に取り付け作業に入りました。

 VITESSAはレンズ・蛇腹・前扉などが一体になって前後し、フォーカシングする構造になっているので、レンズ単体にはフォーカシング機能がありません。その上、ユニットがマウント面より中へ入ったところで無限が出るため、ヘリコイドを挟むわけにも行きません。ここでコンタックスのAXが登場します。
 このカメラは、カメラボディの中でインナーボディ?が前後することでオートフォーカスを実現してるカメラです。メーカーはこういう使い方を想定していなかったかもしれませんが、今回のような遊び方が好きな人たちにとっては大変重宝するカメラです。

 さて、取り付けるにあたっての要件は、1.できるだけ簡単に取り付けられること 2.できれば無限遠が出ること 3.絞りが簡単に操作できること 4.遮光が十分なこと 5.復元可能なこと と決めました。このユニットの外径がヤシコンマウント口径より十分小さければボディキャップを加工するという手もあったのですが、数mm小さいだけなのでちょっと苦労しました。一度は蛇腹へ固定していたナットを使って0.5mmのプラ板に取り付け、それをマウントに貼り付けてみましたが、数mのところにしかピントが合わなかったのでやり直し。最終的にはドーナツ状のプラ板の内側に放射状の切り込みを入れ、それを起こしてレンズをはめ込み、絞りは動かせるようにしてテープで固定、このままでは光がダダ漏れなので遮光片を貼り付けて対応。しかし、絞りのレバーが動く部分からはどうしても光が入ってしまうため、プラ板をマウント内径にぴったりはまるようにドーナツ状に切ったものを取り付け、その上からレンズの付いたプラ板を乗せ、固定しました。これでようやく要件をほぼ満たして取付が完了しました。
 AXに取り付けられた姿を載せたいのは山々なのですが、あまりにもやっつけ仕事然としていて恥ずかしいので、今回は見送らせていただきます(^_^;

 使ってみますと、ピント合わせも露出もカメラ任せですので大変楽ちんですが、時々マニュアルで微調整したくなるときがあります。しかし、したくても為すすべがないという点はストレスのもとになる可能性があります。実際、カメラは合焦を知らせてくるのにファインダーではどうみてもピントが合っていないという場合がしばしばあり、そのままレリーズしましたがアガリはやはりちょっとピンぼけという結果でした。この組み合わせはあくまで遊びであり、AXなら撮影が可能であることの確認でしかないということでしょう。

写りは

 同じものを開放とf5.6〜8で撮ってみましたが、開放では四隅の光量が減少する傾向がある点を除けば、ほとんど差がない(当然被写界深度は違いますよ)と感じました。最近接(50cmくらい)の開放でも驚くくらいシャープに写っています。むしろ近接の方がよい写りで、中遠景は普通です。また、木漏れ日のような点光源のボケは均一で、全般にぼけ方にクセはないと言えますが、特別きれいとも言えない感じです。

作例