このレンズについて
G1が発売された当時、このビオゴンの復活がとりわけ大きく宣伝されていたように記憶しています。一眼レフが主流の現在、広角レンズはレトロフォーカスタイプと呼ばれる構成の型が主流になっていますが、ビオゴンは絞りの前後のレンズ構成が鏡に映したみたいな対称型(実際には対称ではありませんが)という構成で、歪曲収差がほぼゼロと言われています。このレンズを復活させるためにG1が企画されたとさえ言われています。
ビオゴンという名前のレンズは、かつていくつかのカメラに用意されていました。その一つは距離計連動機のContaxというカメラ、そしてContarexという一眼レフ用にも供給されました。さらに、ハッセルブラッドというブローニーフィルムを使う6x6判カメラにも装着されていました。(これらは、焦点距離やフィルムサイズがそれぞれ違いますが。)
しかし、いずれのカメラもとうの昔に現行機種ではなくなり、それと同時にビオゴンという名前も現行ではなくなっていたのです。そんなビオゴンが現代に復活した、というので結構話題になったのでした。
とにかくGシリーズ(に限らず、一眼レフもそうでしたね)は、ボディについてはああだこうだと文句が言われますが、レンズについては悪く言われません。以前知り合いに見せてもらった、何気ないスナップ(確かP45で撮ったものだと思う)で、その片鱗は感じ取っていたのです。EOSやZUIKOで撮ったものとは確かに違う、いつかは自分のものにして見たい、そう思ってきました。ただ、当時はまだ今ほど安くなく、新型カメラよりは50年代、60年代のカメラの方に興味が行っていたこともあり、入手に至らずにここまで来たのですが、つい先日、気まぐれに入ったカメラ屋でたまたま見つけ、衝動的に買ってしまいました。
写りは
わくわくしながら、まずはネガフィルムを入れて一本撮ってみました。そのアガリは・・・正直言って、首をかしげたくなるような写りでした。コニカのフィルムを入れたので、赤みが強いのは仕方がないとしても、以前驚かされた写りのかけらも見当たらないのです。一言で言えばマーキュリーII(注)の写りのようなのです。決してマーキュリーを悪く言う気はなくて、アレはアレでよく写ると言えるのですが、やはりG用Planar45/2に期待するものはマーキュリーに対するそれと同じではないのです。
その後、リバーサルで撮ったりしていますが、特別納得するような写りは得られていません。期待が大きすぎたのでしょうか。それとも、単にハズレのレンズなのでしょうか。または、私の好みに合わないだけなのかな?
いずれにしろ、この個体に限っては、わざわざ不自由なAFビューファインダーカメラを用意してまで使うレンズではないと判断せざるを得ません。作例についても、何ともコメントのしようがないので、写りについては触れないことにしました。
注) マーキュリーII(MERCURY II) アメリカのユニバーサルカメラが1945年から発売したハーフ判カメラ。ロータリーフォーカルプレーンシャッターを採用したことにより、カメラ上部にシャッター板が通る扇状の出っ張りがあるのが特徴。ロータリーシャッターと言えばPEN
Fシリーズが有名だが、PEN Fがシャッターの回転速度によりシャッター速度を変えているのに対して、マーキュリーはシャッターの回転速度はいつも同じで二枚の板のスリット間隔を変えることでシャッター速度を変えるため、PEN
Fのように全速でストロボを同調させることはできない。
採用されていたレンズは、ユニバーサル銘のものもあるが、すべてウォーレンサック製のレンズと思われる。独特の写りを提供してくれるレンズである。
2002.02.19.
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