BESSAMATIC

このカメラについて

 フォクトレンダー初のレンズ交換式一眼レフです。このサイトを立て上げる前にいわゆる「デラックス」を持っていましたが、すぐに手放してしまいました。もうベッサマティックを手にすることはないだろうと思っていましたが、縁あって初代が手元に来たのでした。

 今回入手した初代に比べると、以前持っていた「デラックス」はだいぶ普通のカメラでした。ようするに、この初代がまだ未完成すぎたということです。
 Deluxe発売の後、BESSAMATIC m、BESSAMATIC CSなどが登場してBESSAMATICシリーズが形成されていきました。

 この初代は1959年に戦後フォクトレンダー初のレンズ交換式一眼レフとして登場しました。マウントはデッケルマウントで、レチナレフレックス(初代を除く)などと同じマウントですが、メーカーを区別するための識別爪がボディとレンズそれぞれにあるので、そのままでは取り付けができません。レンズかボディのどちらかを削れば別メーカー同士の組み合わせが可能になります。普通はボディの方を削る事になると思います。

 BESSAMATICシリーズには4つのモデルがあります。それは
  1. BESSAMATIC      1959年
  2. BESSAMATIC Deluxe  1962年
  3. BESSAMATIC m        1964年
  4. BESSAMATIC CS       1967年
の4つです。上の写真は1.の初代です。それぞれのモデルの特徴を挙げると
その後シリーズ旗艦とも言えるウルトラマティックCS(写真上左)。TTL開放測光に対応しています。独特の外観の第一印象は、少なくともかっこいい、というものではありませんでしたが、やけにぴかぴか光るメッキ部分、ずっしりとした重さにいちころでした。このカメラが私にとって最初に買ったクラシックカメラなのです。
 ウルトラマティックCSが登場するまで、フォクトレンダーの露出計はすべてセレン素子を使った外部測光でしたが、このカメラで初めてCdSを使ったTTL開放測光方式となり、実用性は現在でも十分期待できます。ただ残念なことに、CSの前モデルではクイックリターンミラーだったのに、トラブルが多かったためかクイックリターンをやめてしまったので、シャッターレリーズ後はファインダーがブラックアウトしたままです。古いカメラを使い慣れている人にとっては別段たいしたことではないのですが、現代カメラに慣れた人はとまどうに違いありません。
 また、このカメラもAE機構の電源にMR9型水銀電池を使うタイプなので、現在では電池の入手がとても難しくなっています。
 MR9サイズ互換のアルカリ電池を使う方法に関しては、電池の電圧差によりAEの精度がどうなるかは未検証ですので、そのうちやってみたいと思います。また、関東カメラサービスのMR9アダプターを使う場合は、SR44を使いますと若干厚さがMR9より増すため、CSの電池ホルダーを膨らませてしまいます。(写真右上参照。)華奢な樹脂製のため、壊れたときの代替案が思いつかないことを考えると、あまり使いたくない手です。SR43という、ちょっと厚さが薄い電池を使うと良いかもしれませんが、逆に薄すぎるかもしれません。この辺もまだ未検証です。
 それ以外に、OM-1のページでも書いている空気亜鉛電池が使えそうです。本来は補聴器用の電源らしいのですが、電圧が1.4Vで水銀電池とほぼ同じです。電力は小さいのですが、ウルトラマティックCSの露出計を駆動するパワーはあるようです。
 さて、空気亜鉛電池はPR44という型を使います。数字から想像できる通り、SR44/LR44と同じサイズです。電圧は変換する必要がないので、あとは外径を含む形状をなんとかすればいいのですが、これにはOM-1で使った簡単なスペーサーは使えません。で、買ってきたのが写真右中のアダプター(右側にあるのは空気亜鉛電池)。ペンタックスSPF用として売られている、SR44/LR44をMR9互換サイズに変換するプラスティック製のリングです。こんなものが\400もしますが、たくさん売れるとは思えないし、自分で作る手間を考えるとやむを得ないでしょう。で、これらを合体させてウルトラマティックCSの電池ケースに入れてみますと、おお、ばっちりですねー(写真右下)。カメラに装填してみても、ちゃんと露出計が動きます。これで、このカメラも電池の心配はなくなりました。

 ウルトラマティックCSの前には、ウルトラマティック(写真右)というモデルがありました。両者の違いは、外観上ではペンタ部正面の様子が最も違います。「ウルトラマティック」には複眼レンズの受光窓が付いていますが、「ウルトラマティックCS」にはそれがなく、ただの鉄板が入っています。
 機構的な違いで一番大きいのはクイックリターンミラーか否かでしょう。「ウルトラマティック」はクイックリターンなので、巻き上げてあってもなくてもファインダーから被写体を見ることができますが、「ウルトラマティックCSは巻き上げないと被写体を見ることができません。その代わり、クイックリターンのためのエネルギーを巻き上げ時に蓄える必要がないため、巻き上げトルクがやや軽く、構造が簡素化されているので重量も軽くなっています。
 そして、次にTTL測光か否かという点があります。「ウルトラマティック」の外部露出計は、順光であれば結構当てになるのですが、逆光では心許ないこともあります。その代わり、電池要らずという利点があります。

2002.04.14.更新