ALPA 10d

出会い

まだアルパという名前も知らないころ、同郷のマニアがさかんに絶賛していたのが「マクロスイター」でした。作例もポストカードで見せてもらいましたが、どこがそんなにすごいのか、よくわかりませんでした。その後、徐々にマクロスイターとアルパの関係がわかってきて、自分もひとつ試してみるかということになったのですが、いろいろあるタイプの中で何がいいかというのを考えていたら熱が冷めてしまったため、一度遠ざかってしまいました。

アルパについて

 アルパのカメラは意外と昔から作られていて、そして意外と最近まで作られていたようです。手元の資料によれば、製造元のピニオン社は1944年から1989年までカメラを製造していたことになっています。写真の10dは中期の製品で、1968〜78年の間に作られています。
 レンズ右にある四角いボタンがレンズロックボタン、左下はセルフタイマーレバー、左上はレリーズロックです。レンズ側へスライドさせるとレリーズできなくなりますが、動いていれば露出計のスイッチは入ります。

使ってみて

●このカメラを操作する上で一番特徴的なのが巻き上げレバーでしょう。普通のカメラは手前から反時計回りにレバーを回しますが、このカメラは奥(カメラ正面側)からレバーを時計回りに引っ張ってくるのです。ビニオン社がどういう意図でこの巻き上げ方式にしたのかは知る由もありませんが、世間では使いにくいという評価が主流(少なくとも使いやすいと書かれているのを見たことはない)の中、私としてはこの巻き上げ方式を好意的に評価しています。というのは、私は左目が利き目なので、ファインダーを左目で覗きます。すると普通の巻き上げレバーですと額に当たってしまい、巻き上げるときは一度カメラを顔から離さなければなりません。しかし、アルパの巻き上げ方式ですと、左目でファインダーを覗いていても、顔とカメラを離すことなく巻き上げが可能になるからです。
このカメラのレリーズはEXAKTAなどに似ていて、レンズ側に付いたレリーズボタンを押すとボディ側のボタンが押されるようになっており、絞りの駆動もこのときに行われます。

●測光方式は、動いていれば絞り込み測光で、レリーズボタンを途中まで押し込むことにより露出計のスイッチが入ります。絞り込み測光の場合、絞り込むほどファインダー接眼部側からの逆入光の影響が大きくなりますが、このカメラは逆入光をも測定してレンズ側からの光量を割り出すという、画期的な機能を持っています。動いていれば、ですが。

その他

の他の特徴としては吊り金具が独特です。純正のストラップを見たことはないのですが、現在市販されている平たいストラップは似合わないように思うので、私はhamaの黒い丸ひものストラップを付けています。金具の先がちょっと広いので、ヤスリで削る必要がありますが、片側10往復も擦れば干渉部分は削り取れるでしょう。しかし、このカメラを丸ひもで首から提げると、じきに首に食い込んで痛くなります。痛いのがいやなら、もう少し幅広のストラップをつければいいんですが、いいのが見つからないのです。